身近な原因と対策
建物に含まれる化学物質
多くの化学物質が建築に使用されています。 厚生労働省と建設省は、特に早急な対策が必要な化学物質として以下の6種を選定しています。 揮発性化合物(VOC ) : ホルムアルデヒド、 トルエン、 キシレン 薬剤 : 木材保存剤、 可塑剤、 防蟻剤 |
壁 床 畳 建材、構造材 断熱材、吸音材 家具 その他
品名、素材名 | 使用目的、使用部分 | 化学物質(化合物)の種類 |
壁
壁紙 | 塗料 |
トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン (有機溶剤) |
ビニールクロス (塩化ビニール) |
可塑剤 | フタル酸エステル類 |
難燃材 | 三酸化アンチモン | |
素材自体 | 塩化ビニルモノマー |
床
合板フローリング ワラン合板 |
接着剤 | ホルムアルデヒド、ブタノール |
ワックス | トルエン |
畳
畳床 |
芯材
(スチレンフォーム) |
スチレン |
防虫シート 防ダニ剤 |
フェニトロチオン、フェンチオン (有機リン系の農薬) | |
着色料 | マラカイトグリーン |
建材、構造材(土台、柱、桁、梁)
合板 パーティクルボード ベニヤ |
木材保存剤 |
トリクロロエチレン(トリクレン) |
防蟻剤 | ペンタクロロフェノール | |
接着剤 | ホルムアルデヒド | |
殺虫剤 | クロルピリホス(塩素系有機殺虫剤) |
断熱材、吸音材
グラスウール | 素材部分 | ホルムアルデヒド ※断熱材、吸音材して使われるガラス繊維。ガラス繊維の接着剤として使用しているフェノール樹脂の原料に、ホルムアルデヒドが含まれている。 |
ロックウール | 素材部分 | グラスウールと同じ危険が考えられる。 |
ポリスチレン系 |
素材部分 | 樹脂モノマー(イソシアネート)など ※イイソシアネート化合物は反応性が高いため、人体への影響が危険視されている。 |
ポリウレタン系 (イソシアネート) |
素材部分 | 樹樹脂モノマー(イソシアネート)など |
家具
タンス、クローゼット 本棚、ベッドなど |
防虫剤 | ジクロロベンゼン |
接着剤 | ホルムアルデヒド | |
塗料 | トルエン、キシレン |
その他
カーテン カーペット |
臭素系難燃剤 | ポリブロモビフェニル、ポリブロモジフェニルエーテル |
防虫剤 | ジクロロベンゼン |
化学物質(化合物)について
ホルムアルデヒド | 危険性:目やのどの痛み、粘膜の炎症、皮膚炎 アレルゲン(抗原性)を持っているため、アレルギー症状を引き起こしやすい。 皮膚炎、気管支炎、ぜんそく、 アトピー性皮膚炎の原因にもなる。発ガン性有り。 揮発性有機化合物 。無色透明。刺激臭有り。 水に溶けやすく、水溶液はホルマリンとなる。 用途: 接着剤、塗料、防カビ剤、樹脂の原料など |
有機溶剤 トルエン キシレン メチルイソブチルケトン |
危険性: めまい、倦怠感、知覚異常、吐き気 妊娠初期に有機溶剤に曝露すると、 流産、低体重、悪阻(病的つわり)、早産の危険性が増すという報告も出ている。 溶剤はシンナーが原料。揮発しやすく、特有の臭い有り。 用途: 塗料、接着剤、合成樹脂、農薬、香料、甘味料、つや出し、防水加工など |
可塑剤 (かそざい) フタル酸エステル類 有機リン系など |
危険性:目やのどの痛み。環境ホルモンの疑い有り。動物実験で白血病が報告されている。 材料に加えると柔軟性を与え、加工しやすくする働きがある。 用途: 壁紙(ビニールクロス) 、 プラスチック配管 |
木材保存剤 クレオソート 有機リン系殺虫剤 ピレスロイド系殺虫剤 |
危険性:
有機リン系は倦怠感、頭痛、めまい、動悸、吐き気など。 ピレスロイド系は頭痛、鼻炎など。 用途:土台に使われる木材の防腐、防虫、防カビのための薬剤。 |
トリクロロエチレン (トリクレン) |
危険性:皮膚炎、目、鼻、のどの痛み。中枢神経を抑制するため、眠気、頭痛、倦怠感、不安感、認知能力の低下を起こす。 高濃度での死亡例有り。自己免疫疾患、発ガン性も指摘されている。 無色透明。 クロロホルムに似た臭い。 有機塩素化合物の一種。 用途:木材保存剤、殺菌剤の他に、ドライクリーニングの染み抜き、金属などの洗浄、 香料の抽出剤にも使用される。 |
防蟻剤 (ぼうぎざい) 有機リン系 ピレスロイド系 カーバメイト系 クロルピリホス |
危険性:有機リン系、ピレスロイド系は木材保存剤と似た症状を発症する。
用途:シロアリの被害を防ぐための薬剤。予防剤、駆除剤、予防駆除剤、土壌処理剤がある。 クロルピリホス、ダイアジノン、ルメトリン、プロポキスルなどがある。 |