化学物質過敏症とシックハウス症候群
違いや症状について
どちらも化学物質が原因ですが、症状の出方により分けられます。
化学物質過敏症とシックハウス症候群の違い
症状は似ていますが、以下の違いがあります。化学物質過敏症 |
シックハウス症候群 |
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発症 |
微量でも化学物質のある場所ならどこでも発症する | 原因となる化学物質がある一定以上の濃度になった建物内に入ったとき |
種類 |
化学物質であれば、様々なものに反応する | 特定の化学物質に反応する |
原因 |
排気ガス、タバコ、農薬、化粧品、シャンプー・リンス、洗剤、スプレー、香料を使った商品全般など多種多様なものが対象となる。(シックハウス症候群の原因となる化学物質も含まれます) | 原因が建物内に限られる 住宅の建材、家具などに含まれる接着剤や抗菌剤、防虫剤、ワックスなど |
シックハウス症候群は、化学物質過敏症の初期の段階と言えます。
化学物質過敏症になる原因の59%がシックハウス症候群という報告も出ています。
反応する化学物質の数と症状の重さが比例するとは限りらないため、1つの化学物質にしか反応しなくても、重い症状が出る場合もあります。
化学物質による症例
例1新しく家具を買ってから気分が悪くなったが、その場を離れると改善するのでそのままにしておいた。気がつくと今まで使っていたシャンプーやリンス、化粧品の匂いで目やのどが痛くなったり、気分が悪くなるようになってしまった
これは家具に含まれる化学物質にさらされた結果、化学物質過敏症を発症した事になります。一度こうなってしまうと、家具だけではなく、反応してしまう生活用品全てに気を配った生活になります。
例2
オフィスが完全に分煙されていないため、日頃から目やのどの不快感を感じていた。ある時から吐き気やめまいなどを感じるようになり、わずかなタバコの煙でも仕事ができないほどの体調不良を起こすようになってしまった。これもタバコに含まれる化学物質により、化学物質過敏症になってしまった事になります。
重度の化学物質過敏症になると日常に化学物質があふれているため、外出時も自宅にいる時も多くの苦労を伴います。
外出時
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家の中
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家の中から化学物質を追い払ったとしても、近隣の環境により思うように窓を開けることさえできなくなります。雑誌を読むのも苦労する生活になります。これらは生活の中で苦労するほんの数例です。
ただ、全ての人が同じようになるわけではありません。病状はとても個人差が大きく、進行のスピードも違ってきます。
テレビなどの特集を見ていると、かなり重度の患者さんのケースを扱うことが多いため、一部の人だけが発症する重病というイメージが感じられる事があります。
誰にでも発症する危険があり、症状の程度は様々です。 タバコや香水だけという人や、特定の殺虫剤にひどい症状が出る人もいます。
なぜ発症してしまうのか?
多くの場合、花粉症などアレルギーの発症の仕組みと同じように、コップに例えられています。花粉症は花粉というアレルゲンを受け入れる体内のコップがいっぱいになった時、発症します。化学物質過敏症も化学物質に触れ続けた結果、その化学物質に対する体内コップが一杯になり、リミットを超えた時から発症すると言われています。
個人的にはコップよりバスタブのイメージが近い気がします。化学物質は蓄積されるだけではなく、体は排出を行っています。
排出量を上回る摂取をし続けた結果、バスタブから水があるれてしまったのが化学物質過敏症です。
摂取する化学物質を少なくし、食事などで蓄積した化学物質を排出しやすい体質を作る事で症状を緩和していくことが大事になります。
← バスタブのイメージです。 |
症状の進行
警告期:
初期症状が現れる
化学物質に接すると、自律神経が不調になり、血圧や神経活動に変調をきたす。 体調を崩すものの、一過性のレベルですぐに回復する。 この段階で化学物質が原因の不調と気づけることは少ない。 |
マスキング期: 蓄積されている状態
マスキングとは、症状が分からないように覆われている(マスクしている)状態の事。 化学物質が蓄積し続けているにもかかわらず、改善したように思える。 体が体調を取り戻そうとして、化学物質と闘っているのです。 |
器官衰退期:
化学物質過敏症の発症 蓄積した化学物質に体が耐えきれなくなり、化学物質過敏症を発症。 多くはこの段階で、化学物質過敏症という病気に気づく事になります。 |
他の病気の併発など:
化学物質過敏症の進行 一度発症すると、あらゆる化学物質に反応するようになります。 他のアレルギーを起こしたり、ストレスから様々な病気を併発することもあります。 |